お知らせ

2020/12/24

インタビュー

服部洋樹からのメッセージ

四季と出会えたことは、私の指揮人生でとても大きな出来事でした。

多忙な現代社会や変化しつつある環境の中で、四季の移ろいを味わうことは少なくなってきたように感じます。春は桜舞う中優しい風を浴び、梅雨はじめじめに憂鬱になり、夏は照り付ける太陽のもと汗を流す。秋は色付く自然に美しさと寂しさを感じ、冬は凍えながら神秘的な景色に感動をする。そういった趣を感じることがないまま、気が付くと1年が経ってしまっているものです。
グラズノフの四季はただの音楽ではなく、こうした四季の趣が聴く人のいる空間に具現化します。弦楽器によるフラジオレットの音が聞こえるとそこはもう雪が深々と降り積もる森の中。冬達が遊ぶのを見ながら、私たちは春をひたすら待ち望みます。小鳥の鳴き声と共に春を迎えると、音楽はとても温かく喜びに満ちたものに。あぁ、春ってこんなにも優しいものだったのか、と私たちは思い出すことができます。
この曲を初めて実演で聴いた時、春から夏へ季節が変わる瞬間に感動で思わず涙が出てきました。自然はなんて美しいのだろうと。そして、この自然をこんなにも見事に描いている音楽が、なぜ多くのオーケストラ作品の中で埋もれてしまっているのかと非常に残念にもなりました。

フィアールカ管弦楽団は、そんな四季の魅力を伝えるための楽団です。グラズノフの四季を通じて、美しいこの自然を感じてほしいという思いが込められています。また『四季のえほん』や多くのイラストにより、四季のイメージがさらにわかりやすくなっています。私を含め、四季を愛してその素晴らしさを伝えようとしている音楽家たちによるフィアールカ管弦楽団をどうぞよろしくお願いいたします。

グラズノフの四季と多くの方が出会えますように。

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